天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
私は頷く。
痛くないけど…
これはちょっとさすがに…

「動くぞ」

そう言って律はゆっくりと動き出した。
腰が浮いてるせいで奥まで真っ直ぐに届く。

「あっ…やっ…はぁっ…」

繋がった喜びと、律から与えられる甘くて激しい刺激に自然と涙が溢れてしまう。

それに気づいた律はキスで涙を舐めとった。

「辛い?」

「違う…」

感動してるだけ。

「本当に可愛いな、翠」

優しく気遣うようにゆっくりと動く律。

「律っ…」

「ん?」

「たっぷり愛してくれるんでしょ?」

「ククっ。これじゃ足りない?」

足りないのは律でしょ?

「足りない」

こんな事を言って絶対大変な事になるのはもう今の段階でわかるけど、律とどうなるのか知りたい。

「無理しなくていい」

甘い声で囁かれる。
どこまでも甘やかす気らしい。

その気遣いだけでもう充分だ。
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