天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
そして翌日、真弓が出るコンサートに大和と顔を出す。

真弓の出番が終わって、大和と一緒に控室へ顔を出しに行った。

「お疲れ様。あまり本調子じゃなかったか?」

大和が妹相手に容赦ない言葉を投げかける。

「あー、わかっちゃった?」

「わかるわ。今回はオケもいたしそこまで気付く人もいないだろうけど。プロならちゃんと調整しておけよ」

「はい。ごもっともです」

大和に怒られてシュンと肩を落とした。

「大和。言い方」

俺はやんわり間に入った。

「あ、ああ。そうだな。悪い。真弓、まずゆっくり休め。いつまで日本にいるんだ?」

大和が話しかける。

「今回は直ぐに帰るよ。律たちは来月ウィーンだよね?」

真弓が俺を見る。

「ああ。一ヶ月弱くらいかな」

オケと合わせないといけないからな。

その時大和に電話がかかってきて何か急ぎの要件ができたのかそのまま直ぐに帰ってしまった。
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