天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「真弓、ごめんな。俺はその気持ちには応えられない。真弓は大和の妹で、大事な幼馴染だ。俺にとってはそれ以上でもそれ以下でもない」

俺ははっきりと言う。

「やっぱりそうだよね…。わかってたの。律にとっては私はそういう存在なんだって事」

「ああ。この先もそれは変わらない。それから、俺には今大切にしたいと思ってる相手がいる」

「そ、そう…なの。そっか…」

「ごめんな。真弓が嫌なら来月のウィーンも顔出さないよ」

「だ、大丈夫! せめて幼馴染ではいさせてよ」

そう言って真弓は笑った。

「そうか。それじゃ、そろそろ行くな」

「う、うん。またね!」

「ああ。またな、元気で」

俺はそう言って控室から出た。
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