天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
ドイツ語だ。
現地の人かな?

「メアリ、これどうするんだったかな?」

爺さんが婆さんに携帯を見せている。

「私もわからないわよ」

ん?
どうした?

「困ったな。これじゃ、送れないな」

「あの、どうかしましたか?」

私は話しかけてみる。

「あ、お姉さん。いやいや困ったな。実はここからの景色を写真で撮ったんだけど、送り方がわからないんだよ」

なるほどね。

「私が送りましょうか?」

「いいのかい? 悪いねぇ」

「携帯お借りしても?」

そう言えばお爺さんは私に携帯を渡してくれた。
お爺さんとお婆さんの間に座って、一緒に画面を見る。

「まずは誰に送りたいですか?」

「孫なんだよ。かわいいんだ」

ははは。
名前だよー。
名前教えてくれー。

「お孫さんですね? お名前は?」

「ミッシェルだよ」

ミッシェル…
私はアドレスを見て、ミッシェルを見つけた。

「これかな?」

「そうそう! これがミッシェルだ」

ちゃんと顔写真も登録されている。
ははは。
本当だ、可愛い。
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