天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「スイ。スイはアジアン?」

「ははは。ええ。日本から来ました」

「あら!ジャパニーズなの? それならリツ ツルミヤは知ってる?」

んげ!?
知ってますともー。

「ええ。とても素晴らしいピアニストですよね。それじゃ、一旦メッセージ送りましょうか」

「お願いするわ」

そして送信を押す。
これでよし。

「スイ、スイは観光に来たの?」

「え? あ、まぁ。そんな感じです」

「実はね、さっき言ったリツ ツルミヤのピアノコンツェルトが明日あるのよ。ね、あなた」


「そうそう、それでほら孫を連れて行く予定だったんだけど、行けなくなっただろ? チケットが一枚余ってるんだよ」

お爺さんも話し出した。
え?

「スイさえ良かったら、これもらってくれないか?」

「ええー!?」

「良くしてくれたお礼に」

嘘でしょ!?

「い、いいんですか!?」
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