天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「ええ。これも何かの縁だから。私たちも隣りだけどそれでも良かったらどう?」

「嬉しいっ! ありがとう!」

私はお婆さんとお爺さんにそれぞれ抱きつく。

「ははは! 良かった良かった。それじゃこのチケットはスイに渡すわね。明日また会場で会いましょう?」

「はい! ありがとうございます!」

「ふふふ。スイはかわいいわね。寒くてもちゃんとドレスアップしてくるのよ?」

「もちろんです! 本当にありがとう!」

そしてその日のうちにドレスを買いに行く。
なんと言っても、パーカーしか持ってこなかったから。
ははは。

店員さんとあーでもないこーでもない言いながら、コンサートに行くと言えば何着も着せ替え人形のように着せられる。
< 156 / 311 >

この作品をシェア

pagetop