天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい

「コンサートなら絶対これでしょ。あなたにはこれが一番似合うわ？」

派手じゃないか？
いや、私は全然いいんだけど。

「派手じゃない？」

「あら、そんな事ないわよ？　皆んなこんな感じよ？」

そうなの？

まぁ、現地の人が言うならそうなのか。

そして試着をする。

「あら、素敵！　ほら私の言った通りじゃない！　似合ってるわ」

そう言って、めっちゃツルツル頭でヒゲを生やした男性店員が目をキラキラさせている。

ほ、本当に大丈夫なんか？

すると奥から今度は女性店員がやってくる。

「あら素敵！」

「コンサートに行くんですって！」

「まぁ！　それなら間違いないわ！」

「そう？　それじゃこれにします」

それは黒の総スパンコールでできた長袖の膝下までのタイトなデザインのドレスで、前から見ればまぁ普通だけど、背中ががっぱり開いているそんなドレスだ。