天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
会場から鳴り止まない拍手を浴びながら、律はまた颯爽と立ち去っていった。

この後どうしよう。
会えるチャンスは今日しかない。

携帯もないし。

やっぱり、出てくるのを待つしかないかな?

私は老夫婦に改めてお礼をして会場の外へととりあえず出ることにした。

少し離れた場所へと移動する。

寒いー。

しばらく待つも出てこない。
これ以上外で待つのはさすがに無理そう。

もしかしてあれが出待ちの人たちかな?
なんかそれっぽい女性がたくさんいる。

あの人たちがいるんじゃ律は見向きもしないよね。

その時、オーケストラの団員たちが少しずつ出てきてバスに乗り込みはじめた。

私は諦めその場を離れて反対側へと脚を運ぶ。

手足がかじかんでジンジンする。






< 161 / 311 >

この作品をシェア

pagetop