天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
律は真弓さんにそう告げると、真弓さんもにこやかにこちらに手を振った。

私は律に手を取られ立たされる。

「来い」

「え? まだ途中なんだけど!」

「翠さん、行ってあげて。律、気が気じゃないのよ」

そう言って笑う真弓さん。
は?
どういう事?
真弓さんは律の幼馴染で本命なんじゃないの?

そんな事を聞く時間すら与えてくれず私は律に連れ去られるようにタクシーに乗せられ、律が滞在しているだろうホテルへと連れて行かれた。

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