天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
〜律side〜

公演が終わって控室に大和と真弓が入ってきた。

「お疲れ様!」

「ああ。翠がいた」

俺は大和に言う。

「律の相手ってどんな人なの?」

真弓が興味津々な様子で聞いてくる。

「すんげー美人だぞ」

大和が答える。

「写真とかないの? 見たい!」

俺は大和に見せたのと同じあのチャイナ服の写真を見せた。

「え!? 待って! この人知ってる! 嘘でしょ!?」

真弓は大声をあげる。

「は? なんで?」

「日本公演が終わってこっちに帰国する日に助けてもらったの!」

「助けてもらった?」

「そう! 律からもらったピアスを落としちゃって、それを探していたら一緒に探してくれて見つけてくれたの! しかもその後も時間がギリギリになっちゃった私をバス停まで荷物を持って走って案内してくれたのよ!」

ははは。翠らしいな。
思わず笑ってしまう。

「私、あの人みたいな人が律の相手だったらいいなって思ってたの…」

「真弓…」

大和が困ったように眉を下げる。
真弓が俺から振られた事は既に大和に報告済みだ。
真弓が大和に言ったらしい。
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