天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「それだわ。絶対それ」

翠の事だから絶対暴走してる。
それすらかわいいけど。
今はそうも言ってられん。

完全に誤解されちまってる。

ただその前から急に連絡が取れなくなったのも気になるが…。

なんだとしても俺が逃すわけないだろ。

さよならだ?

ふざけんなよ。
こんなにもお前の事しか考えてないのに。

大和と電話を切って気持ちを落ち着かせるように部屋にあるピアノに手を乗せて狂ったように弾いた。

俺がどれだけ我慢してると思ってんだ?
いつだって部屋に連れて帰って愛してやりたいのを我慢して。

予定がなかなか合わずに平日の夜飯くらいしか会えない。

それに連れて帰ったらきっと俺は朝まで離してやれなくなる。

だとまた初めての日の様にバタバタと忙しくさせてしまう。

だからなんとか毎回キスで我慢して。

そしたら一ヶ月ウィーンだぞ。
んでやっと会えたのに?

んで、さよなら?

お前はそれでいいのかよ。
そんなもんだったのか?

見てろ。
今に捕まえてやる。


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