天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
俺は声をかけて、そのまま有無を言わさず食事も途中の翠を連れ出しホテルへと向かった。

途中のタクシー内では沈黙が続くも、手を振り解かれる事はなかった。

必死に理性で自分を押さえつける。

ここがタクシーの中だろうがどこだろうが襲ってしまいそうだ。

わからないなら身体で教えたくなる。
愛してると。

甘く溶かして、余計な事など考えられなくなるほどに。

そして部屋まで行くと俺は耐えきれず翠を抱きしめてしまう。

「ちょ、これ、どういう事?」

翠が口を開いた。

「いや、俺が聞きたいわ」

「私たちって、なに?」

「なに?」

「律は真弓さんと付き合ってるの?」

は?

「いや、翠がいるのにあり得ないだろ」

「え? 私たちって付き合ってるの?」

「は? 俺はそのつもりだったけど。違ったのか?」

何言ってんだ?
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