天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「ぼ、暴走って! 律のせ…」
勢いよく言い返そうとして翠は言葉を飲み込んだ。
「なに。俺のせいだって?」
「そ、そうだよ。律のせいだよ…」
「なんでそうなったんだ? 俺、気持ちは伝えてたろ?」
「……くれないじゃん」
珍しくボソボソと話す翠。
「ん? なに?」
「あの日から抱いてくれないじゃん!」
俺は思わず目を開けてしまう。
え?
それで?
それで不安にさせてたのか?
「私だけ…なの…?」
なわけあるかよ。
「翠。お前いつ帰るんだ?」
「明日」
「何時?」
「17時」
俺は迷わず翠を担いでベッドに組み敷いた。