天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「え? 今から?」
「ああ。とりあえず一回抱かせろ」
「とりあえず一回?」
そう言って俺を見上げる翠。
「持ち合わせが今一個しかないんだよ」
「あ、財布の?」
そう言ってクスクス笑う翠。
知ってんなら聞くなっての。
まさか翠が来るなんて思ってなかったから持ってきてない。
俺はまだ笑ってる翠の唇に食らいついた。
「んっ…」
俺から逃げようとする舌を捕まえて吸い付く。
早く繋がりたい。
どれだけ我慢したと思ってんだ。
息つく隙間さえもどかしい。
翠を丸裸にして俺も服を脱いだ。
ぴったりと身を寄せ合えば、翠の心地よい体温と吸い付くような滑らかな肌が俺を包み込む。
二人のキスの音がベッドルームに静かに広がっていく。