天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
しばらくお互い余韻に浸るように黙ったまま目を合わせて微笑み合いキスを何度も交わす。

「好きだよ、翠」

「私も好き」

そしてその後一度シャワーを浴びてせっかくだからとウィーンの街を歩く。

だがこの街では俺はちょっとだけ有名過ぎて、いくら顔を隠していても見つかって囲まれてしまい、結局すぐにホテルに戻る事になってしまった。

「ごめんな翠」

ホテルに戻りソファに座って翠を後ろから抱きしめる。

「ははは。芸能人みたい!」

まぁそんなようなもんだけどな。
こっちではメディアにも顔をよく出しているし。

今では日本を生活拠点にしている事も公表されてるため、余計に公演で戻ってきた俺を一目見ようと騒がれたのだろう。

「他の国ではこうはならないから」

「ふふふ。そうなの?」

「ああ」

そしてそのあとは、しっかりと買ってきた新品の箱を持ってベッドで愛し合った。




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