天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい

2人の世界

〜翠side〜

ウィーンから戻って携帯を確認すると、電源が落ちていた。

あらら。

履歴を見て笑ってしまう。

律…。
たくさん心配かけちゃったんだね。

"ただいま"

さっそく律に連絡する。
律はあと一週間くらいしたら帰ってくる。

"おかえり。無事について良かった。もう会いたいよ"

ふふふ。私も返事を返す。

とにかく気持ちを確かめることができて良かった。

にしても律…
凄かった。

あんなに…

私はたくさんベッドで愛し合った事を思い出して思わず一人で顔を煽ってしまう。

初めて身体を重ねた時は加減してくれていたんだと気づいた。

あれはヤバいわ。

て、テクニックが…

「キャー！」

私はソファのクッションに顔をうずめて叫ぶ。

気持ちが通じて身体を重ねる事があんなにも幸福感で満たされるとは知らなかった。

最初の時みたいに挑発する余裕なんてなかった。