天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
これまで律は一体どれだけの経験を…
いや。
そこを掘り返したらキリがないよね。
わかってはいても燻る胸の感情。
幼馴染といるところを見ただけで嫉妬にかられさよならなんて言葉を投げ出してしまった。
それでも律は私を見放さなかった。
私の暴走を止めてくれた。
ちゃんと話を聞いてくれて。
一つずつ不安を取り除くように。
そして律もウィーンから戻って、また日本での暮らしに戻った。
なかなか時間が合わないのはもうこればっかりは仕方ない。
私は週末休みだけど、律は週末は公演があったりするし、海外公演ともなれば数日留守にする事も多い。
っていうか、知らなかった。
そんなに公演をしていたなんて。
どんだけなの本当に。
ピアノの他にもどうやら投資などもしているようで、その経済力に驚いた。
そんな忙しい中でも、少しでも会おうとしてくれるし、週末オフが重なれば出かけたりして。