天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい

その時ちょうど良く奏翔が私の前にコトっとビールを置いたのを見て一気に煽る。

「おかわり」

「はいはい」

奏翔はまたフッと笑うとすぐに2杯目を出してくれた。

私はまたそれをグビグビ喉を鳴らして飲む。

「だいぶ荒れてんな翠」

「ほっといて」

ギロっと睨む。
完全に八つ当たりだ。

「ククククっ、生理前か？」

なんて言って、さーっぱり私の八つ当たりなんて気にもしていない奏翔を見て余計に頭に血が上る。
でも一応大人だし？
ここお店だし？

黙って言葉をビールと一緒に飲み込んだ。

「あ、腹減ってんのか？」

何も言わない私にとんちんかんな事を言い出す奏翔。

「違うわよ。でも何か食べる」

奏翔はクスッと笑う。

「今だとウニのクリームパスタあるぞ」

ウニ！？
ウニ大好き！

「食べる！」

「待ってろ」