天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい


「いや、無理でしょ! なんで!? なんでそんなに落ち着いてられんの? 逆に」

「ははは。いや、俺もテンション上がってるよ」

そしててっきり数多く並ぶヴィラのどれかに泊まると思いきや、案内された先は水上ヴィラではもはやなく、水上キャッスルと呼んで良いほどの最上級のプレジデンシャルヴィラだった。

「へ? これ?」

「クククク、ああ。これ」

そこは茅葺き屋根とスマートでオシャレな二階建てのリゾート感たっぷりのヴィラで開いた口が塞がらない。

そしてスタッフが総面積300㎡だと説明してくれた。

中に入るとリビングにベッドルームが二つ。
広々としたプール付きのテラスや、サウナまでも完備されていた。

見渡す限りの大海原に、遮るものが一切ない水平線とこの世の物ではないような美しい青のグラデーション。

思わずその絶景に涙が出そうになった。
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