天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
私はギューっとしがみつく。

「真弓には悪いけど、そのくらい無いな。ははは。全くタイプじゃない」

「そこまで言わなくても」

「いや、本当に。真逆も真逆だろ」

いや、よく知らないけどさ。
確かに見た目は全然違う。

「俺は翠が好き」

律…

「見た目とっつきにくそうで、うるさくて、わちゃわちゃしてて、すぐ暴走して」

「いやそれ悪口じゃん!」

「すぐ怒る」

ちょっ

「律!」

「最高よ」

「喜んでいいの? それ」

ジトっと律を見る。

「いやもう、無敵だろ」

「無敵ってなによ」

「ククっ、お前最強よ。敵わねぇ。何しても可愛く見える」

「それ今だけじゃないの?」

「ないな。そりゃ普通初めは良いとこばっか目につく奴もいるだろうけど」

確かに。

「私、今まで彼氏から振られてばっかだったよ」

「見る目がないんだよその男」

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