天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「そう。ゴミでも見るみたいな顔されたわ」

「ははは! すげぇなそりゃ」

「笑い事じゃないんだけど!」

「ククククっ。面白い奴もいるもんだな」

ダメだこりゃ。

これが維織だったらこめかみに血管でも浮かべて怒るんだろうに。

奏翔は隠してるつもりだろうけど、奏翔は絶対維織が好きだ。

まぁこの二人は放っておいてもそのうちくっつくでしょ。

「初めてあんな扱いされたわ」

「勉強になったな」

なんて呑気に笑ってるし。

その後もお酒を飲みながら適当に奏翔と話をしたりして家に帰った。

部屋に入ってドサッとドレスのままソファに横たわる。

あんだけ腹が立っていたのに、私は何を思ったんだか彼のアルバムを購入してしまった。

そしてBluetoothで部屋のスピーカーに繋げて流す。

やっぱり凄く良い。
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