天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
だめだ。もう我慢できん。
私は維織と美空に話す事に決め、奏翔のいるslowに呼び出した。

二人が揃ったところで私は口を開く。

「実は私、付き合ってる人がいるの」

「うそ!? いつから!」

美空が叫ぶ。

「ハロウィンのあとくらいからかな」

「えー!? 誰!」

維織も前のめりで聞いてくる。
奏翔はその間黙ったままグラスを拭きながら私が話すのを待っているようだ。

「大声出さないでよ。あと言いふらさないで」

私は声をひそめる。
コクコクと目をらんらんとさせ頷く二人。

私は律の公表されているプロフィールを見せながら言った。

「この人。鶴宮律ってピアニストわかる?」

三人はそれは驚いた顔をしてお互いの顔を見合わせている。

「知ってる! めちゃくちゃ有名人じゃん! お客さんにもファンの人いるもん」

美空が話す。

「私もわかる! え? この人と付き合ってるの!?」

私はコクっと頷くと美空と維織はそのまま白目を向いてしまった。
それを見た奏翔はクスッと笑う。
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