天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい


美空がワクワクさせて言ってきたので、旅行に行った時の写真の中から適当に選んで見せた。

無地のホワイトのTシャツに黄色のリネン素材のショートパンツ姿で片手をポケットに突っ込んで船を待つ時に撮ったやつ。

キャップをかぶってサングラスをかけて少し斜めを向いている。
わかりづらいかな?

「は? カッコよ! モデルじゃんこんなの」

「ピアニストの鶴宮律には見えないでしょ?」

「確かにこれならわかんないわ」

「俺も見たい」

そう言われて奏翔にも見せる。

「やば。かっこよ。雰囲気あるな」

「奏翔たちと同い年だよ」

「へぇ。あとはないの?」

そう言われて、ご飯を向かい合わせで食べてる時の写真を見せた。
奏翔はジッとそれを見る。

「なぁ翠。律くんさ、大丈夫だと思うぞ」

「なんで?」

「いや、こんな顔してお前の事見てんだろ?」

こんな顔?
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