天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「私たちにも見せて」
二人がそう言うと奏翔は携帯を渡す。
すると二人で携帯を覗いてニコニコしだす。
「翠。大丈夫だよ。律くん。こんな甘い顔しちゃってさー。ねぇ?」
「うん。こんな優しい顔して翠の事見てさ。律くんの事知らない私たちから見ても、ちゃんと翠の事思ってるってわかるよ」
「焦らないでさ、待っててあげなよ」
二人にそう言われて少し気持ちが上がってくる。
「そっか。でも結婚したいー!」
私はそう言ってカウンターに突っ伏した。
「お前、暴走すんなよ?」
「わかってるってば!」
でも三人に聞いてもらって少し落ち着いたし、仕事の関係上勝手な事ができないんだとしたら納得だ。
パパも焦るなって言ってくれたしね。
私は一旦、結婚の事はまず頭から離すことにした。