天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
そして、丈慈と大河が正式に社長と副社長になった。

しばらくして律が長かったツアーから帰ってきた。
久しぶりの律だ。
心が躍る。
仕事が終わって律の車に乗り込む。

「おかえりなさい、律」

「ああ。ただいま」

そう言って車の中で一度キスをする。

車を走らせ夜ご飯を食べに向かう。
すっかり帰国したら食べに行くのが恒例となったあのすき焼きのお店に行く。

すき焼きを食べながら土産話を聞く。

「翠。お盆休み、俺にお前の時間をくれないか?」

「え?」

「ツアーで消耗した心を癒してくれ」

「ふふ。うるさい私で癒される?」

「癒されんのよ。本当はこのまま連れて帰って朝まで抱き潰したい」

「ちょっ…」

「ククク。お盆までとっとく」

「いや、明後日じゃん」

「はは。最高だわこのリズム感」

そう言って嬉しそうに笑う律。

< 228 / 311 >

この作品をシェア

pagetop