天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「何するの?」

「内緒」

「ふふふ。楽しみっ!」

「明後日、朝に迎えに行くから」

そう言って迎えた当日。

迎えに来た律が乗っていた車は、パパや大河、大地くんが乗っててお馴染みのドイツ製大型高級SUVだった。

しかもなんか塗装したのか、マット加工されたグレーよりのライトオリーブグリーンでなんだかすごくオシャレだ。

「は? 買ったの?」

「ん? ああ。塗装頼んだから納車時間かかったんだわ。何かと便利だろ?」

サラッとそんな事を言う。

「ま、まぁ。そうね」

もう何も言わない事にしよう。

そしてなんの準備もしていないのに空港に連れて行かれる。

「え?」

「パスポートは俺んちにそのまま置いてあったから持ってきたぞ」

そう言ってドヤ顔で私のパスポートを見せる。
そうだった。
どうせしばらく海外出張の予定もないしと思って、律に預けたままだったわ。




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