天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「どこに行くの? 私何も持ってきてないよ?」

「大丈夫。向こうに行けば全部揃ってる」

そうしてメキシコ行きの便に乗った。

「メキシコ!? 結構時間かかるんじゃないの? 律、飛行機ばっかりで疲れない!?」

「全然平気」

そう言って本当にケロッとしている。
さすがっすね。さすがっすわ。

「これから翠にたーっぷり癒してもらうし」

そんなニコニコしないでくれー律くん。
かわいいじゃないか。

結局そんな律を見て私は笑顔を返すしかなくなる。

律、なんかご機嫌だな。
なんなら逆に私が癒されてるわ。

そして向かった先はカンクン。

ここはカリブ海のビーチに太陽が燦々と降り注ぎ白亜の砂浜にターコイズブルーの海が美しいそんな場所だ。

澄み切った青空と海の透き通ったグラデーションは息を飲むほど美しい。
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