天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
ヴィラに着くなりさっそくベッドに連れて行かれたっぷりと愛を注がれた。

腕枕をされ、後ろから抱きしめられたままその日はすぐに二人とも夢の中へ入った。

「翠、起きろ」

顔中に細かいキスが降ってきて起こされる。

「んー、くすぐったいよ」

「セノーテ行くぞ」

そうだった!

「おはよう!」

私は素っ裸のままガバっと起きる。

「あーあ。本当に起きたし」

どゆことよ。

「このまま抱こうと思ったのに」

「行くよ!」

「クククク。そうだな、行こう」

朝一というだけあって人も少なくて、本当に透き通った世界の中洞窟へとダイブする。

気持ちいい。

太陽が洞窟の中に降り注ぎ、光のカーテンとなって自然が作り上げた芸術をたっぷりと味わった。

律と並んで泳ぐ。
言葉がないぶん、ジェスチャーで会話をするのがまた楽しい。

ほら見て。とか。
あっちに行こう。とか。

手を繋いで泳いだりとにかく素敵な時間を過ごした。
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