天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい


「うっ…うっ…」

「もしかして、ずっと待ってた?」

「待ってた! ずっと!」

「ははは。ごめんて。いろいろあったんだよ」

「律っ…、私も、私も愛してる。とっても」

私は何とか顔を上げて気持ちを伝える。

「俺もだよ。幸せにするよ、誰よりも」

見つめる瞳が真実を物語るように真剣な眼差しを向ける律に、釘付けになる様に見つめ返す事しか出来ない。

ゆっくりと律の顔が傾いて私はそっと目を閉じると、優しいキスが唇に落とされた。

そしてゆっくりと下ろされると左手を持ち上げた律は、私の指に一粒の光り輝くダイヤの指輪をはめる。

一度、結婚の事は頭から離していた手前、余計に喜びが倍増する。

「ありがとう。律」

「待たせたな」

そう言ってフッと笑った顔がとても男らしくて何度でも恋してしまう。




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