天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい

「律、許可したの！？」

「ええ！　もちろんよ！」

嘘でしょ！？
いつの間に！？
大丈夫なの！？

もうパニック以外の何物でもない。

そしてあれよあれよと、身包みを剥がされウェディングドレスを着せられ、ヘアメイクをされていく。

「やばい。めっちゃかわいい」

「当たり前じゃないの！　翠に似合うように作ってるんだから」

「えー！　結ちゃーん！」

結局、結ちゃんが好きな私はこんな素敵なドレスを着させてもらえて嬉しくなる。

「翠。良かったわね！　あんな素敵な旦那さんができて」

じわっと目頭が熱くなる。

「ダメ！　泣かないの！」

「は、はい！」

条件反射のようについ勢いよく返事をしてしまう。

そしてワゴンから下りれば、律もいつの間にかヘアメイクさんに整えられタキシードを着ていた。

思わず見惚れてしまう。