天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「翠! バッチリよ! 最高! 私天才!」

結ちゃんも大興奮している。

「それじゃ、私は行くわね! ありがとう律くん! 翠をよろしくね!」

そう言って、一枚だけ写真をくれて嵐のように去って行った。

二人でその写真を見る。

「うわ。なんかすごい」

「おお。本当だ。さすがプロだな」

その写真は、二人でコッソリしたつもりのキスの写真だった。

「撮られてたらしい」

「そだな」

そう言ってまたどちらからともなくキスをした。

「翠。もう我慢できない」

律はそう言って私を情欲的な瞳で見下ろす。
私は黙って頷いた。

そしてすぐにタクシーで宿泊先まで戻り、部屋に入るなり噛み付くようなキスをされる。

「んっ…はぁっ」

「ずっと我慢してた」

「そうだったの…?」

「本当は昨日だってこうしたかった」

そのまま雪崩れ込むようにキスをしながらベッドへ押し倒される。
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