天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「ん…」

「翠…大丈夫か?」

いつの間にか寝てしまっていたらしい。
律はまだ私の中にいて、後ろから抱きしめていた。

「あっ…」

律が僅かに動いただけですっかり敏感になった私のそこはすぐに反応する。

「律…寝てた?」

「ん。このまま寝るなんてな。ごめんな、今抜く」

「…いい」

律は驚いたようにその綺麗な形の目を開く。

「このままもう一度…」

ほとんど回らない頭で律に告げる。

「翠…」

ギューっと抱きしめられゆっくりといたわるように動き出す律。

「んっ…あっ…」

超絶技巧の演奏が終わったあとに、しっとりとアンコールに応えるように。
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