天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「そりゃ良かった」

そう言ってクスクス笑う律。

「ここどこ?」

「俺たちの家」

「はい?」

「だから、俺たちの家」

「えー!?」

「叫ぶなよ。ははは。俺の耳壊す気か?」

「ちょっ! は!? どゆこと!?」

するといつからいたのか、私の座席の窓を外からコンコンと鳴らされ驚いて振り向く。

「パ、パパ!?」

そこにはニヤニヤしたパパと丈慈がいた。

「んな!? なに!? へ!?」

私はパパたちと律を交互に見る。
律は笑いながら動画まで撮っている。

するとロックを解除した律。
すぐにパパがドアを外から開けた。

「おう。翠。お帰り」

「た、だだいま?」

「ほれ、降りろ」

パパが手を支えてくれて車から降りる。
< 249 / 311 >

この作品をシェア

pagetop