天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「純平くん。ありがとうございました。ただいま戻りました。無事にプロポーズも受けてもらえました」
純平くん?
律が車から降りて親しみをこめるようにパパを皆んなみたいに名前で呼んだ。
「おお、そりゃよかったな律。ここまでして断られたら泣くよなさすがに。よくやった」
律だぁ?
呼び捨て!?
いやいや、いつのまにか仲良くなっとるやん!
「いやいや、さすがに緊張しましたよ。コンサートなんて比じゃなかったな。丈慈もありがとうな」
そう言って律は丈慈の肩をポンと叩いた。
屁?
友達なんか?
「おう。律もうまく行って良かったな」
そう言って丈慈も律の背中をポンと叩く。
もういよいよ処理しきれない。
泡吹いてぶっ倒れそう。
「はい。これがキーな。中はどうする?」
パパがキーを律に渡す。
「ありがとうございます。せっかくなんで一緒に」