天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「そうか。それじゃ案内する。家具も頼まれたやつは全部移したから」
「すみません。何から何まで」
「当たり前だろ。俺の可愛い愛娘だぞ」
「ははは。そっすね。俺にとっては可愛い愛妻です」
軽くバトルが始まりそうだな。
「ククク、さすがだ律。頼んだよ。それじゃ、中入ろうか」
そう言ってパパと丈慈が歩き出す。
「翠、おいで。中に入ろう」
律は私の手を引いて歩き出した。
歩きながら必死に脳みそを動かす。
え?
律がパパたちに頼んでこの家を建てたって事?
私と住むために?
ガレージと繋がるように設計された玄関回りは天然の木が貼られていて、マットブラックのシンプルな玄関ドアが付いていた。
いやいや、オシャレやな。
そして律がキーを使ってドアを開ける。
そして何より広い。