天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
そしてなんと私は今月をもって退職する事になった。
それはパパと律からの提案だった。
だからか。
パパはそれを見越して私を丈慈たちの秘書にしなかったんだ。

それから大河と春香の結婚式もニューヨークで行われ、私たちの周りは祝福ムードでいっぱいだ。

律はその日公演があってどうしても調整がきかなかったらしく残念そうにしていた。

そればっかりはしょうがない。

でも律はなんと、その後すぐに結婚式を準備してくれていた。
本当に凄すぎる。

会場の場所はエーゲ海にあるサントリーニ島のイア。

白亜の建物と青い空、青い海のコントラストが最高だ。

断崖絶壁にそびえ立つブルードームと称されるブルーの丸い屋根が特徴の教会で挙式を挙げる。

結ちゃんが、私のドレスはもちろんのこと、みんなの衣装も用意してくれた。

準備が整い、律と並ぶ。
今日の律はいつにも増して格好良さに拍車がかかっている。

白のタキシードを着て、今はサイドが短くトップはパーマがかかっている。

見上げれば律が隣で甘い視線を私に向ける。

「愛してる」

もうこのまま飛びついてしまいたい。
< 259 / 311 >

この作品をシェア

pagetop