天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
みんなで写真撮影をして、食事をとって相変わらずここでもどんちゃん騒ぎだ。

私も漏れなくヘロヘロだ。

「翠! 良かったわね本当に」

ママが大きな瞳をうるうるさせながらもニコニコで声をかけてきた。

「ママ! うん! 本当に! ありがとうねママ! 幸せ過ぎてヤバい」

「ママも嬉しい! キャー!」

「ママとパパが私の一番の憧れの夫婦だから」

「やーん! 純平ー!」

そう言って親子で抱き合ってぴょんぴょん飛んでいれば周りに女性陣が集まってきてみんなで肩を回して円陣ができてしまった。

パパをチラッと見れば、ママを慈しむような優しい顔で見守っていて、私と目が合えばコクっと頷いて微笑んだ。

カッコいい。
我が父ながらに最高にカッコいい。

律も終始ご機嫌で、律からもピアノの演奏のプレゼントが贈られた。

律の演奏は、これまで聴いてきたどの演奏よりも心が震えた。
< 262 / 311 >

この作品をシェア

pagetop