天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい


こないだなんて、律とショッピングをするために歩いて移動していたらパパラッチみたいな人が隠れてこちらの写真を撮ろうとしているのに気が付いた。

「律、いるね」

「だな」

「ふふふ。話しかけちゃお!」

「ククっ、だな」

そして二人で腕を組んだまま同時にだるまさんが転んだみたいに振り向いて、律とその人を手招きして呼ぶ。

「お兄さん! せっかくなんで可愛く撮ってもらえます?」

「頼むぞ? 撮るなら俺の妻を最大限に綺麗に撮ってくれよな」

なんて言ってちゃんと写真を撮ってもらう。
ははは。
パパラッチのお兄さんももう苦笑いだ。

しかもその後、どうせだしランチも一緒に付き合ってもらった。

するとこれまでコソコソと周りをうろついていた人たちもいなくなって、きちんと取材や撮影の依頼が来るようになったようだ。
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