天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
別の日には、私が一人でいる時に律の熱狂的な、ファンだろう人が私の目の前でものすごい高価なカメラを持ったまま転んで、そのまま足をひねってしまって動けなくなってしまった。

「ありゃりゃ。大丈夫ですか?」

私は迷わず声をかけて、病院まで連れて行った。

その後、処置も一緒に付き添って、最後に申し訳なかったと深々と謝られる。
そしてもう無理に追いかけたりしませんと。

だから、怪我だけはしないで下さいね、とだけ言って私はその場を後にした。

後日、感謝の手紙が事務所に送られてきたらしく、律に特に報告してなかった私は、めちゃくちゃ心配されたけど、そんな事もあったわと笑い飛ばしたのだった。

案外、マスコミもファンも向こうからは追っかけて来るけど、こっちから向かって行くとわりと大人しくなるらしい。

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