天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
そして、海外で公演がある時は何泊かするので私も連れて行かれるようになった。

俺が離れたくないと言って。
ははは。

今回律は、国内で一泊二日で公演に行くことになったが、さすがにそこにはついて行かなかった。

なので律が帰ってくるのは明日の夜の予定だ。

インターホンが鳴って、宅配業者から通販で律が買った荷物が届いた。

なんか届くかもって言ってたな。

「重いので気を付けてください」

「はーい！　お世話様です」

重いと言われたにも関わらず、私はその大きな箱を勢いよく持ち上げる。

その時、腰に激痛が走った。

まずい！
まずいぞ！
う、動けん！

あかーん！
やってもーてるこれ！

「お、おじさんっ！　ぎ、ギックリ腰になってしまいました！」

私は微妙にかがんだままの体勢で止まる。

「ええ！？　大丈夫ですか！？　え、えっと…」

慌てるおじさんに言う。

「ご、ごめんなさい。あの左のポケットに携帯が入ってるのでそれだけ取ってもらえます？」

そう言っておじさんに携帯を取ってもらう。

「すいません。あとなんとかするんで大丈夫です！」

「あ、そ、そうですか！？　そ、それじゃ…お、お大事に」

おじさんは何故か申し訳なさそうに出て行った。
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