天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「ちょ、翠ちゃん車乗れる!?」

「手を貸してもらえれば…なんとかいけるはず…ひひ」

ダメだ。笑う。
痛い。

もう春香も肩を揺らして笑っている。

「車高、高いけど本当大丈夫?」

「だ、大丈夫。たぶん…ふひひ」

「ねぇ! 痛いんでしょ!?」

「痛いよ!」

「笑わないの!」

「春香だって笑ってるじゃーん!」

「いいから、行くよ!」

そしてどうにかこうにか激痛にもがきながら結局乗れない。

「あかん! 乗れん!」

「翠ちゃん、諦めて救急車呼ぼう」

「えー!? いいよ!」

時すでに遅し。
春香はもう電話してしまっていた。

うそーん!
人生初の救急車がギックリ腰なわけー?

申し訳なさすぎるってー。
< 278 / 311 >

この作品をシェア

pagetop