天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい


「サプライズと言いますと?」

「翠には内緒で家を建てて、プロポーズした後にでも家を見せたら面白そうじゃないか」

それだとプロポーズはまだ先になるよな?
俺はGWの旅行で言ってしまいたかったんだが…

純平さんの言う通り、確かに面白そうだ。
あの翠が仰天してる所が見たい。

「いいですねそれ! やりましょう!」

その日から、翠に内緒で計画を進める事になり、翠の兄貴も全面協力してくれる事になった。

俺はだいたいの希望を言う。

「ちょうど分譲するか、賃貸物件を建てるか迷っていた土地があるんだ。そこの区画を全部使ってしまおう」

翠も働いている会社に見つからないように入って、会議室を使ってこっそり打ち合わせをする。

純平さんも丈慈もなんとか翠を誤魔化して、こうして俺が動ける時間に合わせてくれて話を進める。

「あそこならお前たちのレジデンスも近くて楽しそうだな」

そう言って場所の地図を見せられると、本当に近かった。
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