天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
その後人の波に乗って丈慈にエスコートされながらホールから出る。

「ジョージ! スイ!」

するとちょうど仕事関係者のルイスに話しかけられた。

「ルイス! ルイスも来てたの?」

「ああ。あのリツ ツルミヤのピアノコンツェルトはなかなか見られないし、絶対に見逃したくなかったんだよ!」

「そうだったの。素晴らしい演奏だったわね!」

「本当に。さすがジャパニーズ。サムライのようだった」

「ふふふ」

「ジョージもハンサムだし、ジャパニーズの男性は本当にカッコいいな」

なんて言って丈慈の肩を叩くルイス。

「そんな褒めても仕事はきっちりしてもらうぞ」

丈慈が笑顔で答える。

「ははは! わかってるよ。それじゃ、ワイフが待ってるから」

「ああ。それじゃまたな」

ルイスが立ち去った後も、偶然にも仕事仲間が次々に現れてしばらくエントランスで話し込んでしまう。
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