天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「うん。せっかくの二つの命ちゃんと守りたい」
「ああ。そうだな。翠、まずはギックリ腰をなんとかしような」
「そ、そうね。ははは」
「車まで歩けそうか?」
「大丈夫」
「よし。それじゃ行こう」
そして会計も済ませて、ゆっくりと車に乗せる。
今日はアストンマー◯ンで良かった。
SUVだったらまた翠は笑わないといけなくなったよな。
「こっちの車で良かった…」
どうやら翠も思ったらしい。
「くくくっ俺も思ってた」
そう言って車を走らせた。
皆んなが住むレジデンスに行って春香ちゃんに言うと、春香ちゃんも携帯の存在に気づいてなかったらしく一緒に車を覗き込む。
「あ、あった!」
翠の携帯はどんだけ乗る時に騒いだのか、後部座席のシートの上に電源が落ちた状態で見つかった。
「おい。どこまでぶん投げたんだよ」
「あははは。必死だったのよ」
「ごめんな春香ちゃん。翠の事助けに来てくれて。ありがとう」