天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「あはは、ごめんね? これから健診?」

「そっ!」

「乗せて行くよ」

俺はそう言った。

「あ、本当に? それじゃお願いします!」

そして春香ちゃんに挨拶して天音ちゃんと翠を車に乗せる。
翠と目が合って俺は頷いた。
天音ちゃんには伝えてもいいと思って。

いろいろ教えてもらえるだろうし。

すると翠も同じだったようで頷き微笑んだ。

「天音、あのね、ここだけの話なんだけどね? 天音にだけ言っておく」

「翠ちゃん、どうしたの? 何かあった?」

「実はね、昨日ギックリ腰は本当なんだけど、他にも病院でいろいろ検査した結果、私も妊娠してた事がわかったの」

「ほ、本当に!? おめでとう!」

天音ちゃんは自分が大変だったにも関わらず、とても嬉しそうに祝ってくれる。

「ありがとう! しかもね、一卵性の双子だったの!」

「キャー! すごーい!」

ははは。

「でもまだほら、できたばかりだし双子だし」

「うん。そうだね、安定期までは私も黙っておくね!」

「うん。ありがとう」

翠は涙を浮かべて天音ちゃんを見た。

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