天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
「天音ちゃん。先輩として翠にいろいろ教えてやってくれ」

「あはは! はい! 任せてください!」

「丈慈には言っても良いから」

翠が言う。
それは俺も同じだった。

そして病院まで天音ちゃんを送り届けて俺たちも家に帰る。

翠を支えてゆっくりと車から下ろし、家に入った。

「ただいまー!」

そして玄関に置いてある箱を見た。
これのせいか。

「翠、ごめんな? もう無理すんなよ?」

「あはは、うん。私も気をつけるね!」

翠は何でも自分でしようとするからな。
頼もしいというかなんというか。

少し前も、俺が帰ってきたタイミングで米袋を担いでスーパーから歩いて帰ってきたし。

米に関してはもう定期便を使う事にしたんだけど。
俺もまだまだ配慮が足りなかったと思うことばかりだ。

掃除なんかはハウスキーパーを頼んでるけど、その辺も一度話してみよう。


< 296 / 311 >

この作品をシェア

pagetop