天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
仕事が終わってはとこの奏翔がマスターをしているホテルのBAR"slow"に向かう。

「いらっしゃい。ビール?」

「うん。お願い」

そして奏翔と少し話をしていれば維織がやってきた。

維織こと藤崎 維織(ふじさきいおり)は私と同い年のいとこで、絃の妹。

「やっほー、翠来てたんだね」

「維織! おつかれー」

今は6月。
ジメジメしてて気持ち悪いけど、ここはクーラーが効いてて気持ちいい。

「今日は? 飲む? 明日仕事だよな?」

奏翔がカウンターから維織に話しかける。

「うん。ソフトドリンクにする」

「ん」

奏翔はいつものように短く返事をすると、ノンアルコールのカクテルを出した。

「ふふふ。相変わらず飲めないね維織は」

私はビールを豪快に飲む。

「翠と美空が強いだけでしょ」

「ははは!」

ちなみに美空(みく)も私のいとこで、私が秘書をしている大河の妹だ。

すると私の携帯がなる。

げ。

私は画面を見た後そのまま出ずに裏返した。

「いいの? 出なくて」

維織が聞いてきた。

「いーのいーの」
< 3 / 311 >

この作品をシェア

pagetop