天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
律とまた目を合わせて笑い合う。
「ククっ一旦お預けだな。ゆっくりおいで。」
律はそう言って私にキスをひとつ落として部屋を出た。
「志音、玖音おはよう。翠がくるまでパパとピアノ弾いて待ってよう」
律は二人が部屋に入ってくる前にまたリビングに連れて行った。
そしてまたピアノの音が聴こえてくる。
律の音だ。
その音は、まるで私に愛を奏でるように優しい音色がする。
私はそれを聴きながら身なりを整え部屋からでて、吹き抜けになった階段の上からリビングを見下ろすと、律の両脇に二人は座って律の奏でる音に耳を傾けていた。
そして三人は私に気付くとニッコリ笑う。
「おはよう!」
私は愛おしい三人に朝の挨拶を元気に言った。
「「おはよーママ!」」
二人は声を揃えて返事をする。
律はまだピアノを弾いていて、微笑みながら私を見つめる。
その瞳は情愛に満ちていて、律に触れられてるわけじゃないのに抱きしめられ愛を囁かれている感覚がしてくる。
「パパ、どうやったらそんな音が出せるの?」
「パパみたいな音、出したい!」
二人がそんな事を言う。