天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
しかもこれまで見た事もない程その佇まいは容姿端麗で美しかった。

だが俺は相手がどんな見た目であろうが、追っかけてくるようなファンには本当に迷惑している。

あの女も間違いなくその類だろう。

しかもこんなパリまで追いかけてきて、男まで連れてくるなんてどんな神経してんだ?

んでしまいには路上でキス?

信じられない。

それに相手の男、めちゃくちゃ良い男じゃねぇかよ。
あんなん稀に見る容姿だよな。

相手の男を思い出しなんだか胸にモヤがかかってスッキリしない。

ホテルに着いても苛立ちが収まらず、結局女を呼ぶ。

ベッドに四つん這いになって後ろから突き上げれば、悲鳴をあげるブロンズヘアの女。

何でこんなに苛立つのかも分からずキスもせずに、ただひたすらに後ろから腰を打ちつけた。

女が帰った後も結局スッキリせず、ピアノが置いてある部屋へと向かい八つ当たりするように思うがままに鍵盤を叩いた。

クソみたいな音だな。
こんなの誰にも聴かせられない。

そう思いながらも俺の指は止まらない。

あの女、一体何がしたいんだ?

何故俺の頭から離れない。

弾いても弾いてもあのキスする二人が色濃く目に焼き付いて苛立ちは募る一方だ。
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