天才ピアニストは愛しい彼女を奏でたい
俺は、鶴宮 律(つるみやりつ)。

両親は日本人で、父は指揮者。
母は声楽家で、オーストリアのウィーンで生まれ育った。

幼い頃から音楽に囲まれた生活をして、いろいろな楽器に触れてきたが、その中でも一番はピアノだ。

寝ても覚めても弾く事を止めず、無我夢中で練習を重ね気が付けば血が出るほど鍵盤を弾き続けた事もある。

今でこそ神童だなんてうたわれる事もあるが、昔の俺は感情に左右されると演奏にでてしまい思うように弾けない事も実は良くあった。

そんな経験を経て、コントロールも出来るようになり数々のコンクールで賞を取れるようになって、今ではプロのピアニストとして飯も食えるようになった。 


俺の父方の祖父母は日本に住んでいて、俺は幼いながらに日本に遊びに行くたびにいつかは日本で暮らしたいと思うようになった。

そしてそろそろ生活拠点を日本に移したいと思いマネージャーである大和に頼んでいたのだ。

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